マンダレイ

シャンテシネ。公開2日目、しかも今のところ関東での公開はここのみ、のわりに人が入ってなかった。アカデミー賞効果の「クラッシュ」のほうが圧倒的人気。でも「マンダレイ」もあの「ドッグヴィル」の続編だからもう少し人気かと思ったんだけどなー。
主人公グレースがマンダレイという町を通る。と、そこには公開広場で黒人奴隷をむち打つ白人老女の姿が。正義感の強い彼女は父親の手下のギャングを使い、力と法律で町を変えてしまう。「これは私たち白人の責任なのよ」。次の綿花の収穫が終わるまで町に居続け、マンダレイの変化を監督するグレース。最終的に彼女が抱いた感情とは…
演出方法は前作同様、白線だけで建物の屋根も壁もない平地。主人公がニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワードという人に変わった。この人の顔が「バッド・エデュケーション」でのガエル・ガルシア・ベルナルの女装顔に見えてしまうのは私だけだろうか。
なんかね、正直パワーダウンしている気がした。セットなしも2度目になるとその分インパクトは薄い。また、集会場のように皆が集まる画が多く、話している人がいない場所の照明がぼんやり暗い感じのため、このセットを生かしたシーンが少ない気がした。しかもストーリーもドッグヴィルのような痛切さがなかった。人種差別という点なら「クラッシュ」のほうが生々しい。これはあえて差別シーンを多く描かなくとも、アメリカでの黒人差別は既に観客の頭のなかにすりこまれていると考えているせいか。