きみにしか聞こえない

シネマGAGA!GAGA株ずっと持ってるのに来たのは初めて。映画館に特に不満はなく。
リョウは内気で友達がいない女子高生。あるとき拾ったおもちゃの携帯電話にシンヤという男の子から着信がある。お互いに頭の中で会話を交わし、仲良くなると同時にリョウの性格も変わってゆく。いよいよリョウとシンヤが実際に会うことに…。
基本的にはここの感想と近いです。成海璃子は大人っぽい雰囲気を持ってるので、孤立している感は漂ってくるのだけれど、描写的にはいじめのように見えてしまう。乙一の小説では、孤独と寂しさの描写が大事なので演出がちょっと薄いように思える。おもちゃを拾うのでなく、授業中のノートに書いた落書きの携帯電話を登場させて欲しかった。
一方、シンヤの耳と口が聞こえないという設定は良かったものの、それを生かしきれていない。その設定のない原作でもリョウ同様に内向的となってるのに、映画では恵ちゃんの笑顔が爽やか過ぎて全然マイナスのオーラが出ていない。べただけれどもちゃんとそういうところを描かないと、なぜシンヤがリョウに共感し惹かれたのか、「ありがとう」と言ったのかの納得が少ない。さらに肝心のリョウへのネタバレも爽やかすぎる。クライマックスの最高潮なのだから少しは引っ張ってもいいのにあっさり。
そして致命的なのは原田の使い方。原田との会話からリョウは目標とする女性像を作っていった、と原作では読めるのに、単なる一言アドバイザーになってる。こちらのネタバレもラジオを一写しするだけで観客への訴えかけが弱い。蛇足の後日談的部分を作るなら原田をもっと絡まるべきでは。
と、なんだかんだいっても、期待していたほどには悪くなく、ハードな一日の最後にも関わらず集中して最後まで観ることができた。ずっとツッコミを入れてたという気もするが。特に高田延彦を教師役にするのはやめてくれ。あのシーケンスは笑いが止まらない。