華氏911

hifie2004-09-03

銀座テアトルシネマ。東京駅から走って開演10分前に到着。行ったことあるかと思ったけど、初めてだった。それでも走っててなんとなく着いてしまう、自分の方向感覚がすごい。客席数が150なのでもう席はほとんど埋まってた。けど中央の補助席が空いてたからそこにすわる。パイプ席に座布団と座り心地はよくなく、隣に座ってた夫婦も疲れてた。
予告編で「誰も知らない」流れた。正直、涙がこぼれ落ちるとこでした。昨日の今日ですから。ゆきちゃんが笑ってる。。。明や京子や茂よりゆきちゃん中心に映ってるように見えてしまう。バックで流れてるタテタカコの「宝石」がまた儚くて悲しくなってくる。しかも気づかなかったけどラストシーンも予告編で流れてるし。最後に谷川俊太郎のことばを小泉今日子が読むとこも胸にくる。昨日観終わったときには泣かなかったのに。今、これを書こうと予告編見たらまた泣けてきましたよ。でも、映画館でも私だけでなく、あちらこちらで鼻をかむ音がしたし、前の席のおばさんはハンカチとりだして目頭押さえてた。
気を取り直してこちら「華氏911」。こっちは「何も知らない」(劇中のセリフに使われてた)だね。ここまでメッセージの強いのはすごい。「イラク戦争は愚かなブッシュと彼の家族・政権のやつらの私利私欲の金稼ぎに使われてる」ということをこれでもかと伝えてくる。ただ、私はタランティーノの言う「一映画作品として」優れてるとは思わなかった。これは「ブッシュと彼の周りの人々」という狭い範囲に集中砲火を加えていて、「ブッシュを大統領に当選させないための映画」と言ってもいいだろう。「ボウリング・フォー・コロンバイン」のほうが「アメリカの銃社会」という、より大きな敵を相手にし、さらに自身で小さな変化=勝利をおこしているから爽快感があった。今回もブッシュの愚かさの他に、「そんなブッシュを支持してしまうアメリカ国民、アメリカ社会」をもっと描いて欲しかった。アメリカは共和党民主党の2つで背後に人種や宗教問題があるから複雑なんだろうけど。私は日本でも「それでも自民党に投票する人々」をニュースやドキュメンタリーで扱って欲しいと思うんだよね。朝日新聞ニュースステーションNEWS23とか偏ったとこばかり見てると、いったいどんな人が自民党に投票するんだろうと思えてしまうんだけど、それでも毎回自民党が第一党なわけで。
それはともかく。あと思ったのがブッシュが負けてケリーが勝ったらいいのか、ってこと。だってブッシュだけなの、こんなことしてんのは。民主党政権になったらクリーンに賢くなるの?それをムーアは描いてなく、単にブッシュ批判の映画なんだけど。それこそ「アメリカの政治システム」が腐敗してる、ってことはないの?それが気になる。当然のように日本でも起こってそうなことだし。だって政治家の失言だって日本のお家芸かと思ったら、アメリカの政治家だって同じじゃん。
というように政治的なことばっか感想にでてきてしまうという点で、「一映画作品として」楽しむ感じじゃなかったかな。あと、イラク戦争が第二のベトナム戦争化というくだりで「ミス・サイゴン」を思い出した。第二の「ブイ・ドイ」も生まれてしまうのだろうか。