幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門

hifie2005-02-13

シアターコクーン。出入口に近いバルコニー席だったので、本番中に役者の人が出番待ちしたり、はけていったりする真横だったのでちょっと気になってしまった。
戦に敗れた平将門堤真一)が妻・桔梗(木村佳乃)、参謀の三郎(段田安則)、将門の影武者であり三郎の弟である五郎(高橋洋)、三郎と五郎の妹のゆき女(中嶋朋子)らと追っ手から逃げている。しかし、将門は頭部にうけたケガが原因で、自分自身が将門を殺す使命を持った追っ手だと信じ込んでしまう。といった話。
堤真一は緩急つけて狂気の将門を演じてた。むしろ印象的には緩んだ部分というか、コミカルなはしゃぎっぷりが眼に残る。しかし同時に論理的なセリフがぽんぽんと飛び出す。
ラジオ番組を何度か聴いてて実は好きな女優だった木村佳乃。一本調子という前評判の印象は確かにあって、高貴なお局さまみたいなトーンでずっといってた。けどそれはそういう約作りのようにも見える。将門の錯乱におろおろして弱いところを出すような女ではなく、強くはかなく生きていく女。しかし、本人のイメージはおっとりした天然系な感じなので結構意外な感じがしたなぁ。
段田安則中嶋朋子はこれぞ役者って感じで熱演。高橋洋ロミオとジュリエットのマキューシオのように前半で死んでいった。役回りが似てるなあ。あの勢いよくしゃべったり動き回ったりするのがかっこいいなあ。
崩れていく集団のなかで人が考える策略や裏切り、といった一面を見せていて、かなり奥が深いスパンの芝居だなぁと思った。
ただし、私は事前に聞いてたから、ヘリコプターや拡声器の音が持つ意味がわかったけど、まっさらな状態で見に行ってたらきっとわからなかったと思う。劇の中で明示してるわけじゃないから私以下の世代では時代背景を感じるのは無理な気がする。