森山・新宿・荒木

東京オペラシティアートギャラリー。はじめて訪れた。けど建物のなかはあんま見ずに過ぎちゃった。「どっかみたい」な印象。飲食店街はワールドポーターズかな。
これは森山大道(もりやまだいどう)と荒木経惟(あらきのぶよし)が新宿を舞台に撮った写真展。わざわざ名前の後ろにふりがなをつけるように、私は今まであんまりこの2人の写真を見たことがなかったのね。もちろんアラーキーの名は知ってるし、その風貌や女性のヌードを撮ってる姿はテレビで見たことがあったと思う。でもちゃんと美術館で見るのは初めて。
この美術館も初めてだけど、今回の展示では、だいぶ引き伸ばして大きなサイズの写真が最初に現れて、壁の上の方まで部屋一面に貼ってあったり、あとちょっと写真面が反射してたり、いつもよく行く写美と違ったテイスト。そもそも私自身「新宿」という街に認識、思い入れがなくて今回の展示は全般的にきつかった。
始めに感じたのは、二人とも影や陰を重用、多用しているということ。なんか暗いよね。でも、気づいたのはその視線の熱さ。熱くてどろどろしてる。わたしのものの見方、もっと言えば生き方はもっと冷たくてさわやかでさっぱりしてるから、この2人と写真とは分かち合えない何かを感じた気がする。変な話、女の人の裸を見ても全然興奮を感じなかった。
そんななかでちょっと近づけたのは最後のほうの、2人が新宿を歩いて写真を撮ってる姿を映したビデオ。やっぱり歩いて写真撮ってる姿は普通のおじさんなわけで。鳩を一生懸命追いかけて写真とってるアラーキーの姿がおかしかった。あと、みんながジベタリアンになって座って映像を見てるのもなんともいえず好い空間。
そして最後の映写室。「≒森山大道(にあいこーるもりやまだいどう)」をやってた。以前普通に映画館で公開してたものだ。そのときはなんとなくやってるなーってくらいしか思わなかった。でもこれがすごく興味深かった。この森山大道という人の写真歴を本人や荒木や評論家風の人が話してく。ある意味、一人称(本人)、二人称(荒木)、三人称(評論家)の三人が話してて、いいバランスの構成だった。もちろん一番印象的だったのは、「写真はアートじゃない、撮り手の美意識で撮るものじゃない、本質的にオリジナルじゃない」ってとこ。カメラというフィルターを通して得られる写真は必然的に現実の複製になる。だから写真の中ではどんなものも「等価」である。だから森山は意味を持たない写真を撮る、印刷物であるポスターを撮る、それもこれも「写真」だから。と同時に彼は知ってる。「けれどもどうしたって写真家の感性が滲み出てくることは否定できない。その矛盾の間で撮るしかない」
もっと観たかったけど、時間が来たので出た。それは渋谷ライズXで「アラキメンタリ」を観るため。けど、けど、けどけどーーーーー!!!20分前にすでに完売。。。大ショック。日曜最終回1000円だからか、収容人数が少ないからか、ともかく残念。