カナリア

アミューズCQN。半年くらい前にできたPICASSO347の7階と8階。水曜1000円。フロアにベンチがいくつかあって座って待ってられるし、座席は多くないけどスクリーンは見やすいし、なかなか好印象な映画館。
この映画はオウム事件をモチーフに、カルト教団で数年を過ごした少年と1人の少女が歩いてく話。目線/カメラがとても地面に近い。あくまで子供からの視線で進んでいく。
主演の2人の強さが印象に残った。2人で定食屋を食べている時の横顔を見ても、すごく大人びて見えた。谷村美月大阪弁ですごくいい!りょうも存在感あって美人っぷりをばりばりだしてた。
そんな感じで前半はかなり自分の流れと合ってた。一方、後半は何かちょっとずつずれてった気がする。おそらく無意識に「光一がだんだんと教団の教えから解かれていく」ようなストーリー展開を考えてたのかもしれない。由希と出会うことで融解していくことを願ってたのかもしれない。しかし、光一はなかなか変わらない。変わらないように見えた。由希が自分のことを言葉で語るのに対して、光一は回想シーンでのみ語る。由希は言った「言葉にできない理由なんか、無いのと一緒や」。
私は祖父のことを悪者としては見られなかった。自分だって、兄は「既に染まってしまった」として見放し、妹のみを連れて帰るかもしれない。そんななか光一がスーパーサイヤ人になった「奇跡」。「誰も知らない」は同じように子供たちの歩いていく背中で終わるが、そこには「奇跡」はなかった。ラストシーン手前で公衆電話から硬貨を見つけるシーンも意図的に奇跡を起こさせないためのものかもしれない。「奇跡」を見せることで子供たちの将来を開くか、あくまで淡々と現実を描くか、共に現実の事件をモティーフにした監督の違いがでた。