夏の庭

湯本香樹実著。夏らしいお話。小学6年生の男子3人が1人の老人と出会って成長していく。
この本では、そこかしこに詩的な表現がでてくる。たとえば

ものが腐るのは、ひとつの変化にすぎない。肉が煮えていい匂いになるのも変化なら、お酒が醗酵して甘い匂いになるのも、食べ物が腐ってしまうのも変化なのに、ぼくはそれを『いい匂い』と感じたり、『いやなにおい』と感じたりする。変化にも『いい変化』と『悪い変化』があるんだろう。ぼくの手足がやたらひょろひょろ伸びるのは、きっと『悪い変化』だ。(p51)

わざとらしいけど思春期の心のうちを表している。そして、私の好きな池澤夏樹に似ている。

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)