未成年が、こっそりたばこを買う権利

hifie2006-09-17

http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20060916#p1
いつもみているこの日記で「運転免許証をIDとして使用し、たばこを買う自動販売機」に対する違和感が書かれていた。
これは、ローレンス・レッシグ著「CODE」で書かれている「4つの規制ー法律・市場・規制・アーキテクチャ」のうちの「アーキテクチャ」の規制のことだと思う。「家に鍵をかける」ことで「不法侵入を難しくする」ことと一緒。システムの物理的な構造によって人々の行動をコントロールするものだ。
こうした「アーキテクチャ」による規制は、その規制自身を見えにくくしてしまう。一方で変更することが容易なことが多い。たとえば先の自販機の例ではx>=20というプログラムコードの一文字を変えることで、年齢を30歳以上にすることも10歳以上にすることもできる。法律や人々のモラルを変更することに比べれば非常にたやすい。なおかつ、その変更フローが民主的な手続きを必要とせず、一部の企業や人間の独断によって可能である。
だからこそレッシグは「アーキテクチャ」自身を「法律」で厳しくコントロールする必要性を問うている。
ところで、これをアーキテクチャの設計者の立場からみると「よかれと思って」のことが多い。例えば、株の誤発注が起きないよう「不自然に大きな桁数の注文には警告を発する」こともそうだ。自動改札機にしてもID認証付きたばこ自販機にしても、いずれも悪いことを防げごうという、まっとうな正義感から生まれたのだと思う。
実はこの問題は、技術屋さんの理系人間に対して文系人間が感じる潜在的な脅威みたいなものかもしれない。飛躍するけれども、核兵器のスイッチを押す権限は持つことができても、そのスイッチがどう動作するかは別の人間が握ってるみたいな。