フラガール

hifie2006-10-04

シネカノン有楽町。1000ポイント貯まったので食事券GET!
廃山する炭坑町に誕生するハワイアンセンターの踊り子さんのおはなし。途中で気がついたんだけど、「ブラス!」と「スウィングガールズ」を足して2で割ったような。
なんとなく演出家・脚本家とセンスが合わなく。なんというのか、対立の構図がはっきりしない。特にこの映画をみて思ったのだけど、やっぱり感動する・心動かされるためには逆方向にハンドルをしっかり切っておくことが必要。
この映画で言うと、ハワイアンリゾートの成功を盛り上げるためには、その阻害要因を予めちゃんと描くこと。反対してる人たちは確かにいるんだけど、その中心キャラがつかみづらいのだ。
紀美子(蒼井優)の兄貴(トヨエツ)は根っからの炭坑人なのだろうけど、妹への思いがあり早くから先生に「妹をよろしく」と言ってしまっている。これで立場的にどっち(フラガールの味方か敵か)かわかりづらい。それならむしろ母親のほうが、終盤で紀美子のダンスをみて改心する分、そういう役割に近い。確かに、紀美子を家から追い出す、サユリの父が亡くなった時に先生に「でていってくれ」と言う、などいい線はいってる。だけれども町の中での立場としては、「婦人会の会長だった」というセリフひと言で説明されてるのみなのが惜しい。もっと村を代表する、炭坑の労組を代表するような役回りが強く欲しかった。高橋克美も頑固そうな親父に見えたんだけど、とっとと町を出て夕張(炭坑で栄えた町)に行ってしまうし。
それと、成功の阻害要因としては辺鄙な田舎にあるハワイアンセンターにおける集客力も気になった。普通あまり人が集まらなそうにみえる。だからこそ、フラガールが各地に行って踊っていたのだろう。なので、町の関心が薄く支配人(岸部一徳)が経営に困るようすと、実物や雑誌のフラガールをみた人たちが興味を持つ様子がしっかり欲しい。
あとフラガール内のキャラもあまり立っていない。蒼井優の踊りのうまさは十分わかったが、それと「リーダー」であることが等しいとは限らない。サユリの父が亡くなるというチームの危機の際に初めてリーダー扱いするのではなく、もう少し以前からみんなを引っ張るような態度がないと説得力がない。というより紀美子はリーダーというよりエース的ポジションで、まとめ役には年齢的にも適切な池津祥子が務め、あの場は彼女の見せ場にしたほうがよかったと思う。しずちゃんも笑いとしては活かしきれてないと思う。
というように盛り込み要素がある分、ダンスシーンでのスローモーションなど不用意に冗長になっている演出もあったと思う。ダンスは連続してみたい。徳永えりを見送るところもやけに長かった。
辛口な感想になってしまったが、結局のところ蒼井優が真剣な表情で踊ってるところがみれればよいのだ。それって「花とアリス」と一緒だけれど。