エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?

ライズX。恵比寿から100円ハチ公バスで渋谷へ。この小っさな映画館は1階の後ろで観るのが正解。
観た人にいろんな示唆を与えてくれる、実に良い映画。アメリカで7番めの規模の巨大企業が崩壊していく様子を追ったドキュメンタリー。時代の変革者たる経営者のリーダーのイメージが株価偏重、SPC経由の横領、会計の不正操作、トレーダーによるマネーゲームと、これでもかと畳み掛ける悪事によって破産へと導かれる。
元CEOであるスキリングの議会?の証言では、自分に非は全くないかのように主張する。自分は知らなかった、自分がいたころは健全だったと全く懲りていない。憎々しいほどに潔白を訴える。そのくせ社員の持ち株は紙くず同然と化していながら、自分は売り逃げして利益を確保。とんでもない悪人。
なにより印象的なのは、こうした一部の経営者だけの問題でなく、エンロンには会計事務所、法律事務所、大手金融機関、そして政治と社会システムそのものが加担していたこと。当然、海のこちら側の日本でのライブドア村上ファンドの事件を想像できないわけがない。
こうした犯罪、不正を誘発してしまう現代の社会システム。語り口調はソフトな映画だけれど、改めて感じるその事実の絶望的ともいえる衝撃の大きさ。