キング 罪の王

アミューズCQN。ガエル・ガルシア・ベルナル主演。
海軍を退役したエルビス（ガエル・ガルシア・ベルナル）はテキサスの牧師デビッドに会いに行く。だが、牧師とその妻は過去の経緯のため、エルビスを拒否する。エルビスは夫妻の娘マレリーに近づき家族に隠れて交際を続け肉体関係を持つ。ある夜、牧師の息子ポールに目撃され言い寄られると、エルビスはポールを殺してしまう。一方マレリーは妊娠が発覚し、エルビスに打ち明けるが、彼からポール殺しを聞かされてしまう。ポールが行方不明になったことで過去を清算する気持ちになったデビッドは、エルビスを自宅に呼び寄せ、さらに教会の説話上で、昔に女性を金で買い子供をもうけたことを懺悔する。そこで初めてマレリーはエルビスが自分の異母兄弟であることを知る…。
うーん。復讐劇だと思って観てたんだけど、エルビスの感情が読みにくく何考えてるんだかわからない。デビッドとの初対面ではエルビスは悪意を全くみせず、他方デビッド夫妻の怯えのみ描かれる。流れ的には、計画通りにマレリーに近づき妊娠させたにも関わらず、それを牧師夫妻が知るところは描かれない。ポールの殺し方にしても刹那的。本人にその気はなかったような振る舞いをみせる。凶器として使われることを暗示するかのようにオープニングから登場した、主人公が持ち帰ったライフルは結局最後のシーンでも使用されない。
そう考えると途端にエルビスに悪意はなかったのではという気持ちになる。マレリーに初めて会った時から（異母兄弟）口説いているし、エルビスの庭の花を植えたりして素朴なところをみせている。母親を失い、軍から外れて身寄りのないエルビスは家族が欲しかったのだろうか。
感想を見ていっても、エルビスの行動が復讐なのか純粋なものなのか評価が分かれる。不思議な映画。