パフューム

銀座シネパトス。GAGA株主優待券でバベル以外に観られそうなものといったら、Coming soonも含めてこれくらいだった。ここは地下鉄ごとごとだから、あんまりなんだけど。
18世紀のフランスで世界一の嗅覚を持つ男が、香水職人になり、女性の匂いを集め保存するために人殺しを繰り返す。
香りとか貴族とか高貴な感じなのに、だんだんとネタっぽくなってくるのはなぜだろう。主人公の動機が(変人すぎて?)いまいちよく共感できないし、あんなに大騒ぎになってるのをかいくぐって殺しを続けられるテクニックが説明されないのは納得感に欠ける。前半はナレーションがあったり、香水師の先生との会話があったからわかるんだけど、後半は主人公の会話はほとんどなかった気がする。なにより肝心の女性の匂いについての描写が欠けてるのはおかしい。
つまるところ、狂ってるようになってからは事件のみを描き、その精神状態や目的の魅力については常人=観客には理解できないものという描き方。これって主人公自身でも自分が理解できなくなってるのではないか、と思わせておいて処刑台で香水を振りまくのに裏切られる。あれは「よくわからないものができた」ではなく、「最高の香水ができた」という確信に満ちてるようにみえる。
初期の頃は関わった人がみんな死んでいくような不幸を連れてくる男なんだけど、最後では、処刑台に集まった群衆にも魚市場の人にも幸せを与えることができた、という見方をするのは好意的かな。