最高僻地5級地って?

あと2年後に鹿児島県のトカラ列島で今世紀最大級の皆既日食が観られるという話。この話に出てくるのが、トカラ列島は「行政上の区分は最高僻地5級地」という枕詞。さすがに多良間島波照間島レベル程度じゃ勝てない気がするが、北海道のチミケップ湖、豊似湖、シュンクシタカラ湖くらいなら、いい線いけるんじゃないかと思った*1
で、はてなでも質問がでてる(http://q.hatena.ne.jp/1082381743)けれど、これだという回答はない。調べてみた。


人事院規則九―五五(特地勤務手当等)
要は国家公務員が働く際の手当の基準となる、僻地度合い。これは6段階で、1級地の4%増しから6級地は25%増し。
6級地:小笠原諸島の父島(小笠原総合事務所、父島気象観測所横浜海上保安部小笠原海上保安署)と、沖縄の南大東島南大東島地方気象台)、与那国島(沖縄地区税関石垣税関支署与那国監視署、与那国島測候所)
5級地:鹿児島の喜界島、徳之島、沖永良部島与論島
4級地:新島、三宅島、八丈島奄美大島下地島伊是名島
3級地:北海道で利尻・礼文奥尻島と鹿ノ子ダム、本州で唯一の十和田湖隠岐の西ノ島、対馬厳島屋久島、種子島奄美大島(名瀬)、石垣・宮古久米島
おそらくトカラ列島が載ってないのは国の機関がないためであろう。あれば6か5は間違いなし。でもないし、5級地が最高僻地でもない。


似たようなものに、へき地教育振興法施行規則というのがある。これは僻地の学校に赴任する先生に対する手当を決めるための度合い。駅、病院、郵便局などなどの公共施設までの距離によって点数をつけていくのが面白い。ただし、このルールに則った点数づけの結果はWeb上にはないみたい。全国へき地教育研究連盟(全へき連)刊行の「へき地学校便覧」に載っているようだ。ただし、数については文部科学省学校基本調査の結果でわかった。
平成18年度のへき地5級の小学校は本校、分校合わせて104校。そのうち61校が鹿児島県。以下、19校沖縄県、8校長崎県、7校北海道、4校東京都であとは全て1校ずつなので、鹿児島県がダントツである。同じく平成18年度のへき地5級の中学校は本校、分校合わせて70校。そのうち41校が鹿児島県。以下は小学校とほぼ同じ。
これでの最高僻地5級というならわかる。けど、はっきりとはわからない。


別の観点で、トカラ列島の住所の「十島村」で電子政府の総合窓口で検索して見つけたのがこちら、公職選挙法施行規則の別表第一。つまり公職選挙法の第四十八条の二第一項第四号にあるように「交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。」のために、期日前投票又は不在者投票を行うことができる地域。
こちらは本州でも青森から各地が載ってるのに、北海道が松前大島だけで、東京は「小笠原村硫黄島南鳥島及び母島」だけ。鹿児島県では西之表馬毛島鹿児島郡三島村と十島村、熊毛郡上屋久口永良部島、大島郡宇検村枝手久島、瀬戸内町与路島及び請島。沖縄県では、国頭郡本部町水納島島尻郡久米島町奥武島宮古郡多良間村水納島八重山郡竹富町新城島、字西表一、九六四番地から二、四七六番地までの地域(通称船浮)、字崎山一番地から八九五番地までの地域(通称網取)及び鳩間島。もちろんこれも「5級」がないので違う。


結局のところ、「行政上の区分は最高僻地5級地」というのはよくわからなかった。「へき地教育振興法施行規則」が近い気がするけど、5級校は結構あるようだ。北海道では富村牛(とむらうし)小学校がそうらしい。地図をみると、まさに山の中にあるのがわかる。

*1:人が住んでないか