イノベーションのジレンマ

クレイトン・クリステンセン著。名著。
破壊的イノベーションの5つの原則
1. 企業は顧客と投資家に資源を依存している
2. 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
3. 存在しない市場は分析できない
4. 組織の能力は無能力の決定的要因になる
5. 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
この本で中心事例として挙げられているHDD業界には現在、SSD(Solid State Drive)という新しい技術が登場している。同著内で「フラッシュ・カード」と呼ばれる技術がいよいよこれまでのHDD業界のバリュー・ネットワークに入ってきたと言えよう。
ちょうどITmediaに米シーゲイトのビル・ワトキンスCEOの言葉が載っていたが、非常に興味深い。

ノートPCで採用が始まっているSSDについてワトキンス氏は、SSDのアドバンテージとして語られている「耐衝撃性」「起動時間が短い」「省電力」は「SSDが壊れなくてもノートPCが壊れてしまう。起動時間を速くできるのはフラッシュメモリを組み込んだHDDでも同じ効果が期待できる。
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加えて「フラッシュメモリにデータを繰り返し書き込むと10万回程度で使えなくなってしまう」とSSDのデメリットも指摘。
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ワトキンス氏は、SSDが書き込み回数の問題を解決したという条件を満たした上で、2010年にはHDDとSSDは容量あたりの価格が最も重要な比較になるとみているが、それでも「50ドルで250GバイトのHDDを選ぶユーザーが同じ50ドルで50GバイトのSSDを選ぶだろうか」とコメントしている一方で、HDDにフラッシュメモリを組み込んだハイブリットタイプのHDDについて「HDDメーカーはソリッドステートストレージをもっと(HDDに) 取り組ん でいくべきだ。それが、HDDを成功させるカギになる」という見解を示した。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0706/29/news054.html

単位容量当たりの価格差を強調している一方で、SSD技術をHDDの持続的イノベーションの枠内に入れようとしている。

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)