850m*12

小生、昨日と今日と2日続けて女子に振られたのである。正確に言えば、「隅田川にて花火を鑑賞いたしましょう」というお誘いを断られたのである。
2人とも小生を傷つけないよう、それなりの正当な理由を主張しているのが憎らしい。しかも「日曜なら空いてるけど花火ないね」とか「都内に行けないけどうちの近くでも花火あるよ」とか、フォローするのである。小生が調子に乗って飛びつこうものなら、「そんなつもりじゃなかった」というに決まってる。
あーあ、あのメールが悪かったんだろうか。そもそも小生が、浴衣を着た可愛い女子と花火を見たところで、相手を楽しませることができるだろうか。
と、暗い気持ちになり、自暴自棄で八百屋で桃を買ったり、来週の傷心旅行を決意して帰宅したのである。失意のなかでいたところ、とあるブログ記事を読み、一念発起してジョギングにでかけました。「もっと走り込みを積極的におこなえば、二度とふられない」と思ったのである。
公園の周回コースを走り出して2周め、調子の上がってきた小生は顔に液体状の何かを感じた。ふと横を見るとそこには猫がいた。どういう角度で発射されたかわからないが、小便がかかったようである。さらにそこから半周ほど走ると、道ばたに何か小さい塊が落ちてる。白くてふさふさふわふわしていて、黒斑がみえる。動いていないが猫の死体のようである。もう半周走り、さきほどの液体の場所に行くと、猫はいなかった。また半周走ると、猫のような塊はあった。
5周めも終わりに近づいき、そろそろ帰ろうかと思ったころ。「わたしのどこがいけなかったのだろう」「昼ご飯にカレーでなく、オムハヤシを食べたせいでは」「ダイソーで真っ黒綿棒を買ったのがまずかったのでは」という反省の念が浮かんできてしまった。こんな貧弱な精神ではだめだと思い直し、さらに走りを続けた。
9周め。公園の中央付近で発煙筒が焚かれていた。こんなところでセリエAの試合かと思ったが、風向きが変わるに和風の香りが漂ってきた。どうやら花火のようである。おめでたい連中がいるものである。小生さらに1周して戻ってくると、彼らは風のように消えていた。まだ走ります。
12周ほどすると『家に帰ったら「昨日はああ言ったけど、やっぱり行けるよ♪」とか「今年は行けないけど来年は予約だからね♪」というメールが入っているのではないか』という前向きな気持ちになることができたので、家に帰りました。もちろんのこと、1件も新着メールはりませんでした。
なお、小生はけっして「小生物語」をまねたわけでも、こちらの記事をまねたわけでもない。リスペクトの念が多少あっただけである。