東京都写真美術館

3階。コレクション展「旅」第1部。美術館所蔵の写真をテーマに沿って数回構成の展示で見せる。そんな規模のことができるのも写美ならでは。カメラ・オブスクラの時代の、写真だか絵だかわからないようなものから、昔のローマやパリの写真が続き、そして日本の風景画。これもいくつかは見たことあるけど、後から色をつけた「横浜写真」は鮮やかで見事。富士山が写ってる写真など今と変わらないように見えるものもあり、今と一変している東海道の町並みがあり。
2階。プレス・カメラマン・ストーリー。新聞社に属する日本人カメラマンの撮った写真。なんとなく戦場写真が多いのかと思ったらそうでもなく、自分の子供や東京駅の写真があったり。3階の展示と同じで、戦後すぐの数十年前でも今も変わらない景色があれば、全く違う景色もある。人の考えや中身はどうだろう。
地下1階。世界報道写真展2009。6回めの報道写真展。なによりの衝撃なのは対象作品が、地域紛争や民族対立による悲劇ではなく、経済危機によるものであるということ。「そこ」には「被害者」の姿が映し出されず、ただ不安げに家主の去った部屋で銃を構える男が一人。これを選んだところに、強いメッセージを感じるなあ。どうせならオバマ「Change」や「Hope」のほうが前向きなんだけど、それはやはり違うんだ。毎年毎年この展示では、顔を覆い、頭を抱える人々の写真をみる。そうして今現在もこの世界で続いている悲しみを想像する。今年こそは、少しずつ悲しみが減って、幸せが増えていくことを願わずにはいられない。そして願うだけでなく小さなことでも変えていかなきゃ。