第9地区

TOHOシネマズ錦糸町。前評判がよかったので、エイリアンが南アフリカにやってくるという設定だけ知ってる状態で行った。「シネマハスラー」で言ってたように、他の情報や評論を聞かなかったのは正解。昨日そこまで聞いてラジオ(正確にはradiko)を消してよかった。
エビみたいなエイリアンが20年も住みついているという設定がユニーク。普通、異星人が来たらすぐに戦うでしょ。逆に異星人のほうも人間を積極的に攻撃するわけでなく、かといって友好的でもない。そいつらを移住させるという人間がいて、それに人権擁護団体が反対するという構図もおかしい。
それ以降の展開も非常にテンポがよく、かつ、先の読めない話で飽きさせない。ずっとスクリーンに集中させられた。私的には、地下から浮上した宇宙船が墜落したり、モビルアーマーが砲火を浴びて倒れるところなどの意外さにしびれた。安易にかっこよく強くなったりしない。
その意味で悪役としての大佐は強くて、かっこよかった。逆に主人公のヴィカスは優男。宇多丸の評論では前半と後半でヴィカスは大きく変わったと言ってたけど、私はちょっと違う。あんだけ気持ち悪く迷惑な生物なら強制撤去あるいは虐殺でもいいくらいと思ってたのに、ヴィカスはいちいち立ち退きのサインを求める。そこに私はコミュニケーションをとろうとする優しさを感じてしまった。その一方で卵を焼き殺すのを嬉々と実況していて、なんか混乱してたのだけど、やっぱり単に仕事だからそうしてたのかもしれないな。
私の場合、後半になってもあまりエビに対して親しみや同情を感じなかったので、差別被差別のテーマはあまり強く残らなかった。とはいえ、このスピード感やストーリーテリングは久々の快感だった。