世界を変えるお金の使い方

hifie2004-12-19

山本良一責任編集、Think the Earth Project編、ダイヤモンド社、2004年、ISBN:4478871035

読者の皆さんが近所の本屋さんへ行ってすぐ気がつかれるように、ビジネスコーナーの書棚にあるほとんどの本は、いかに労せずに楽々とお金をもうけるか、だまされずに資産を形成するかについて書かれた本ばかりです。著者の調べた限り、お金をどのように使えば“世のため、人のため、地球のためになるか”をやさしく教示した本がほとんど見当たらないのは不思議と言えば不思議です。(P.2)

まさに私が欲しかったような本です。私も社会人になってお給料がもらえたので、その中からいくぶんかを「何か社会の役に立てたい」と思い、WWF会員になったり、SRIを買ってみたり、ちょっとだけ高いけどエコフレンドリーっぽいものを買ったりしているのです。でも、そういうことに関する情報って、もっと積極的にばんばん広めていくべきだと思う。

商品を購入するという行為は、知識情報の塊としての商品を選択するという行為でもあるので「貨幣による投票」とみなすこともできます。(P.4)
ある製品やサービスを購入することが、直ちにそれを生産した企業やその開発を行った科学技術者に拍手を送り、激励することになっています。(P.6)

そうなんです。お金を払うということは、受けた財やサービスに対して評価するということなんです。だから、自分が気に入ったモノやサービスを提供してくれた相手には、高い評価をして(高い対価を払って)、当然なんです。それなのに、消費者が安いものを求め、さらに生産者も自ら進んで価格を下げようとするというのは、互いに評価などどうでもいいと思っていることに他なりません。だから私は演劇のチケットでもパタゴニアの製品でも、それが本当に自分を満足させてくれるならば、喜んでお金をだしたいと思う。
なんかそういう感覚ってこれからすごく大事にしていかなければならないと思う。例えば、WinMXwinnyなどファイル共有ソフトのせいで音楽CDや映画DVDが売れなくなったとか、ニュースサイトのせいで新聞が売れなくなるとか、インターネットで無料で手に入るものが多くなったせいで既存のメディアが悲鳴をあげている。でも、やっぱり自分が感動する映画を観たり、励ましてくれる音楽を聴いたり、見聞を広めてくれる記事を読んだりしたら、それらを作ってくれた相手には感謝の念は持つのは自然なことだと思う。だからそこでその気持ちを金銭という評価に変えて、クリエーターたちに贈る社会的なしくみづくりが必要なのだと思う。それが、P.78-79で述べられているような「寄付文化」なのかな。

すなわち、製品・サービスの購入の正にその瞬間こそが、大げさに言えばあなたが世界を変える“その時”なのです。あなたは購入、投資、寄付行為において合理的な選択をすることによって歴史形成への主体的参加をすることが可能なのです。(P.7)

話はそれたけど、結局、お金を使うというのは評価することで、じゃあ「普段目立たぬところで社会を変えようと努力して活動している人たちを評価するのにはどうしたらいいの?」という問いにアドバイスを与えてくれるのがこの本。私が個人的に気になったのは、聴導犬ナショナル・トラスト点字本、未来バンクかな。