容疑者Xの献身

東野圭吾著。直木賞受賞作はさすがで、ほぼ2日で読み切った。
ある母娘が別れた夫を殺害してしまう。そのことに気がついた、二人に好意を抱いている隣人の数学教師。警察から二人を守るために死体処理からアリバイ作り、警察対応まで指示を出し続ける。天才的に論理を組み立てた彼の術中にはまり、捜査は難航。そこで刑事がアドバイスを聴きに行ったのは、これまた論理の天才の物理学教授だったが、彼は数学教師の大学の同窓であった…。
いかにも怪しそうな物的証拠を残し、また、それがトリックであることを明かしていくという描写がぐいぐい読ませます。なるほどーって。でもね、私は気づいちゃいました、話のオチに。珍しいことに。湯川の図書館での行動から、なんか日付が怪しいことにひっかかったんです。そうすると顔や指紋をつぶしたとか、ホームレスの描写とかがぴーんとつながってくる。やっぱりミステリーは一気に読まないとね。
ただ、読んでいてどうも石神も湯川もイメージが湧いてこなかったな。とりあえずいちばんまじめっぽい高校の数学教師を思い浮かべたけどしっくりしなかった。論理明晰すぎるのと、一般の人間性の枠を超えてたかな。その献身ぶりがこの小説の見所なんだろうけど、共感は得にくいものだ。でも、実際、そういうことなんだろうな。うん。ちょっと身にしみるな。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身