Q&A

hifie2007-05-19

恩田陸著。試験が終わったのでようやっと小説が読めるよー。
題名はQ&Aで実際最初は、質問者と質問される側のインタビュー形式の会話が続くんだけど、だんだん別のシチュエーションでの会話になっていく。だからこのタイトルでいいのかなと思う。
ただあえて、一方の話者のセリフを会話文(「」あり)にし、もう一方の話者のセリフを地の文’(「」なし)にしている。基本的には地の文のセリフの人物視点で、会話文のセリフの人物から「事件」の真相を聞くという展開になっている。この構図を使用していることによって、後半のQ&A形式でないシチュエーションでも導入部が楽になる。
最初はインタビューが続くにつれて、この「事件」の真相・犯人が明らかになるものと思っていた。だけどそれはおそらく物語の主軸ではなくて、それよりなにより、インタビューされる側の「普通の人々」が見せる連綿とした異様さが残る。罪悪感、憎悪、性衝動、殺意、金稼ぎ、幸福への恐怖…。
事件を起こしたきっかけの「異様さ」からみんなは一斉に逃げ出し、それが被害を生み出したにもかかわらず、各人がそれと似たものを持っていたという皮肉。
蛇足だけど、この文庫本の解説はそれこそ蛇足に思える。小説の中身にほとんど触れることなく、自分の知識をひけらかしてるのは後味がよくない。

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A (幻冬舎文庫)