暗黒童話

乙一著。黒乙一と白乙一が混じったせつない話。
「記憶をなくしていた私」が劣等感があってみじめで寂しい存在であっても、ひとりで立ち向かったことを肯定する終わりかたがいい。
ここのフレーズもすごく乙一らしいと思った。

青は暗さと寂しさの色だ。青い海が深さを増すと、やがて光の射さない深海の闇となる。海面の青と深海の闇は別のものではないのだ。目の前にある屋敷の色は、それが真実であることを冷徹に告げていた。

暗黒童話 (集英社文庫)

暗黒童話 (集英社文庫)