赤い長靴

江國香織著。無愛想でだらしのない夫と、そんな態度に孤独を感じつつも納得する妻の短編集。
ほんとはもっとぐさぐさしたのが読みたかったのだけど、違う意味で心を揺さぶられる。二人ともマイペースでコミュニケーションが成立してないように見えるのだけど、相手に何かしらの特別な想いがある。
このなかの「膜」という話があって、「自分と世界とのあいだに、目に見えない膜がある感触」という表現に、はっとさせられた。私が思っていたものをそのまんま言い当てられたからだ。
江國香織、こんなのも書くんだ。「東京タワー」の違和感はなんだったんだろう。書き分けてるんだとしたらすごい。

赤い長靴 (文春文庫)

赤い長靴 (文春文庫)